江戸怪談一覧

江戸時代の仮名草子、浮世草子、読本などに見られる怪異譚

杏生と二人のお貞

若き医師長尾杏生と新潟湊の芸妓お貞。すれ違う二人は、二十年の歳月を経てふたたび幻想のうちに巡り合うが――。小泉八雲が典拠とした「夜窓鬼談」中の一編より。

長いものは窓より入る

甲斐性なしの夫を支えた糟糠の妻。無情に打ち捨てられた女は、新たな幸せを掴んでいたかに思われたが――。長いものがうねりながら迫ってくる。じっと見つめる無表情の裏に秘められた情念とは。

金弥と銀弥

双子のように仲の良い美貌の侍女、金弥と銀弥。ある晩、銀弥は金弥の秘密の姿を目にしてしまい――。ひとつ褥に妖物が添い寝する。江戸の名随筆家、鈴木桃野「反古のうらがき」中の一篇より。

白い乳房に憑いたもの

若く美しい尼僧が語った発心譚には、女の業と情念がしがらんでいた。尼僧の白い乳房に今も憑いているものとは――。怪異に満ちた江戸の随筆集、根岸鎮衛「耳嚢」中の一篇より。

暗峠 姥ヶ火の首

山家の花と謡われた美貌の娘を襲った哀しい偶然。人目を忍んで老いた女は貧しさの中で罪を犯したが――。二股の矢が生首を刎ねる。火を吹き、宙を飛ぶ妖異。井原西鶴「西鶴諸国ばなし」中の一篇より。

丸山遊郭 猫の食いさし

長崎の丸山遊郭。今日から初めて客を取るという、幼い遊女の左馬の介が見初めた若衆。暗闇に光る青い光。ねちゃり、ねちゃりと舐め回す舌。雨そぼ降る中に現れた美少年の正体とは。

蒼き炎と眠る美童

諸国行脚の旅に出た一休。ある土地で同じ一人に当てた艶書を幾通も託される。辿り着いたのは人影のまるでない廃墟のような寺町。そこに一人で住んでいたのは頑是ない稚児だった。執心が生霊となり、赤い血が鬼と化す。「諸国百物語」中の一篇より。

熊野起請文 烏の祟り

お人好しの主人の目を盗み、私腹を肥やす子飼いの手代。神をも怖れぬ増上慢が身に招いた破滅。反り返っては跳ね、反り返っては跳ねる火の車――。平仮名本「因果物語」中の一篇より。

剣樹刀山 炎熱地獄

金だけ巻き上げられて騙された破戒僧は、やがて復讐の鬼となる。だが、その先に待っていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図だった――。木も、草も、笹の露さえも、この世の全てが責め立ててくる。片仮名本「因果物語」中の一篇より。

ひとり女房 一殺多生

古来、航海の禁忌とされる「ひとり女房」。無理を押して漕ぎ出した船は、やがて嵐に巻き込まれる――。押し寄せる高浪。龍神に捧げる供物。人々の目に映った黒い妖物の正体とは。