
業平と芥川の人喰い倉
恋多き貴公子、在原業平。入内するはずの女を盗んで逃げた先は、人の住まない荒れ果てた倉だった。稲光の中に現れるもの。長い黒髪と女の顔に待ち受けていた運命とは――。伊勢物語や今昔物語集に描かれた、平安の夜の怪異譚より。
「日本霊異記」「今昔物語集」など、中世説話文学に見られる怪異譚
恋多き貴公子、在原業平。入内するはずの女を盗んで逃げた先は、人の住まない荒れ果てた倉だった。稲光の中に現れるもの。長い黒髪と女の顔に待ち受けていた運命とは――。伊勢物語や今昔物語集に描かれた、平安の夜の怪異譚より。
檀家から高僧と崇められる弁西には、人に言えぬやましい過去があった。四方八方雪の髑髏。いつまでも止まぬ観音経。「日本霊異記」中の二編より改作。
旅の僧が一本道の藪の中に見た若い女。衣をはだけ、あらわにした乳房から滴っていたもの――。この世の地獄の先に、女が見た境涯とは。
師の妻に誘惑され、殺人鬼に堕ちた若き婆羅門。冷酷非道の指狩りの果てに待っていた無量の光とは――。多くの仏典に描かれてきたアングリマーラの説話より。
馬の背に瓜を積み、酷使して売り歩く男。あまりの非情さに、通りすがりの老僧が意見をするが――。暗闇から迫ってくる獣の足音。人のこうべは瓜の味。「日本霊異記」より。
老いた国の介の後妻にそそのかされ、石麿は主人の幼い若君を馬に乗せ、人気のない野原へと進んでいく。背中に襲いかかる欲望と背徳。赤裸にされた幼子。今昔物語集より。
山奥深く孤独に暮らす猟師。激流に呑まれた男を命がけで救ったのは――。報恩と虚栄心が入り乱れる。釈迦の前世譚「ジャータカ」を原話とする「宇治拾遺物語」中の一篇より。
借財をしても決して返そうとしなかった女。十年後、女は童子ながら足腰のまだ立たぬ我が子を抱えて路頭に迷っていた。それを見た高僧が放った一言とは――。「日本霊異記」中の一篇より。
月蝕の晩に出会った女には、意外過ぎる裏の顔があった。世界最古の描写と目される、平安のサディズム&マゾヒズム。芥川龍之介「偸盗」の原拠となった「今昔物語集」中の一遍より。
かつての冷泉院跡に残った池の畔。気持ちよく昼寝をしていた男の顔の上に不気味な気配。身の丈三尺の老人が冷たく濡れた手で――。怪しい翁の正体とは。今昔物語集中の一篇より。