幽霊一覧

死に埋め婆の声がする

死してもなお、ともに寄り添い合おうと、死骸を壁に埋めてくれと頼んだ婆。爺も喜んで埋めてやり、毎晩、呼びかけられるのを楽しみにしていたが――。情愛の行き着く果ては、狂気かそれとも怨念か。

瀬田の唐橋で渡された箱

京から美濃へ帰る途上、名橋「瀬田の唐橋」で不思議な女に出会った遠助。「決して開けてはならない」と言って渡された箱――。平安のパンドラの箱には、恐ろしいモノが詰め込まれていた。

沢の怨霊の片棒を担ぐ

武将張禹が旅の途中、雨宿りに立ち寄った屋敷は、死者の館だった。美しい女主人の亡魂と後妻への怨み。見込まれた張禹は祟りの片棒を担ぐことになり――。六朝期の志怪小説より。

妲己のお百(三)おきよの亡霊

雪の中を裸同然で追い出された桑名屋の妻おきよ。一子を産み落として死んだ女は、桑名屋にぺんぺん草を生やすべく亡霊となって迷い出る。ところが、お百は物怖じもせず――。毒婦が毒婦たる所以。

大歳の火

姑から火種を消さぬよう言いつけられた嫁は、気掛かりのあまり、夜通し見守ろうとするが――。不安で押しつぶされそうな状況下で、女が見た幻影とは。雪夜の不思議な幽霊譚。

砧(きぬた)

夫の上京のため、三年を孤独のうちに待ち続けた妻。里人の打つ砧の音に、抑えてきた情念が燃え上がる。やつれた妻と若い侍女。世阿弥作の謡曲より。

海賊と死ねない男

海賊六郎が襲った船。屋形の上に座し、経を読み続ける僧。男女を問わず海に沈められる中、僧だけが何度も浮かび上がってくる――。宇治拾遺物語より。

文弥殺し 宇都谷峠

百両の工面に困った十兵衛は、按摩の文弥が大金を持っていることを知り――。運命の糸に操られ、善人が悪人になる瞬間。河竹黙阿弥の歌舞伎より。