目玉を食う鳥 羅刹鳥

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こんな話がございます。
清国の話でございます。

ある大家(たいけ)の倅が妻を娶ることになりました。
新婦の実家も非常な大家でございまして。
すこぶる釣り合いのとれた良い縁談でございました。

新婦は駕篭(かご)に乗る。
大勢の供が馬に乗って付き従う。
いやはや、祭りの行列のような壮麗さでございます。

そのお練りの一行が長い道のりを経まして。
ある古い塚の前を通り過ぎました時。
不意に一陣の風があたり一面に吹き渡りました。

竜巻がたちまち砂塵を巻き上げる。
ぐるぐるト、新婦の周囲を幾重にも巡ります。
供の者たちは、砂に目をやられて、のたうち回る。
その間に、嵐は徐々に鎮まりました。

目を開けてみますト、幸いに駕篭は無事でしたので。
一行は不思議に思いつつも、再び出発する。
どうにかこうにか、新郎の家に辿り着きました。

ト、駕篭を庭先に下ろしたところで、事は起きた。

下女が簾を上げて、新婦を駕篭から下ろそうとする。
そこに新婦がいるにはいましたが――。

ナント、いつの間にか二人になっている。
出迎えた誰もがあッと声を上げて驚いた。

それも、見知らぬ女が乗っていたのではございません。

顔かたちはもちろんのこと。
衣装や年の頃までまったく同じ娘です。
まるで鏡に写したように、二人の新婦が並んで降り立った。

迎えた人々は、あまりのことに呆然とする。

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新婦二人も互いを見て、驚きあっておりましたが。
やがて前を向くト、同じ音色の声を揃え、

「新婦はこの私です」

ト、訴えるように言いました。

どちらが本物で、どちらが偽物なのやら。
これではもう、誰にも区別が付きません。

とは言え、どちらかは本物ですから。
婚礼を取りやめるわけにもまいりません。

「ともかく、詮議は後にして、予定通り挙行しなくては」

ト、新郎ひとりを新婦ふたりが左右から取り囲むという。
実にけしからぬ婚礼がとりおこなわれました。

もっとも、参列者はみな戸惑っている。
一番、戸惑っているのは新郎でございましょう。

式が済むと、それぞれ三々五々、帰宅の途に就く。
父母や奉公人たちも、それぞれの寝間へ入って行きました。

そして、新郎新婦三人の奇妙な初夜と相成りますが。

――チョット、一息つきまして。

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