中国伝奇一覧

土偶の博徒

百越の故地、肇慶。番卒が城中を夜回りしていると、燈火に群がる男たちの歓声が――。リリリリリとコオロギの声。ごろりと床に転がる首。乱れ交う大金の意外な出処とは。「夷堅志」中の一篇より。

水を飲んだ女

真夏の昼下がりに現れた幼く愛らしい寡婦。その人柄に惹き込まれた王夫婦は、少女を息子の嫁にもらうことにするが――。夢枕に悲痛の訴え。寝間から聞こえる怪しい音。「酉陽雑俎」中の一遍より。

食い込む爪

旅の途中、街道沿いのある村で宿を求めた四人の若者。老いた主人が貸し渋る一室に、何とか口説き落として泊めてもらうことになったは良いものの――。暗闇の惨劇。息を呑む展開。聊斎志異中最恐との呼び声高い一話より。

美女狩り、妖怪斬り

正義を奉ずるあまりに暴虐に走る地方官吏の男。罪人にはみずから拷問をし、女には辱めを与える。ある時、妖怪が出るという宿に泊まることになり、退治してやると意気込むが――。清代の伝奇小説「子不語」中の一遍より。

非情乞食と茶屋娘

汚らわしい乞食を厭うことなく、茶を恵み続けていた娘。噂を聞きつけて激怒した父に、折檻されたと知った乞食は、ある行動に出る。清純さの合間に垣間見えた本心が、巡り巡って災いの種に――。

二度目の妻と嚢中の錐

才色兼備の妻を得た、地方司法官の丁欽。難事件にぶつかるたび、妻の推理が夫を救う。だが、ある時、妻が突然押し黙ってしまい――。江戸文化に影響を与えた「南村輟耕録」中の一篇より。

比丘尼の長風呂

帝位を密かに狙う東晋の武人、桓温。訪ねてきた尼僧の不審な振る舞いに、非礼と知りつつ風呂を覗いてみると、そこにはきらめく白刃、そして――。「意気消沈」の語の由来として知られる歴史故事。

右も左も同じ顔 玄陰池

夏の強い日差しを避けて、大木の下で休んでいた商人の石憲の前に、現れた謎の僧。連れて行かれたのは、多くの僧侶たちが泳ぐ池だった。ところが、その僧侶たちをよく見てみると――。

沢の怨霊の片棒を担ぐ

武将張禹が旅の途中、雨宿りに立ち寄った屋敷は、死者の館だった。美しい女主人の亡魂と後妻への怨み。見込まれた張禹は祟りの片棒を担ぐことになり――。六朝期の志怪小説より。

一つが二つが四つになる

妖邪、迷信のたぐいを一切信じない、李頤の父。ある時、その噂を聞きつけた商人から、住めば必ず死ぬという家を買ってほしいと頼まれる。家人の心配をよそに、二つ返事で承諾すると――。