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美女狩り、妖怪斬り

正義を奉ずるあまりに暴虐に走る地方官吏の男。罪人にはみずから拷問をし、女には辱めを与える。ある時、妖怪が出るという宿に泊まることになり、退治してやると意気込むが――。清代の伝奇小説「子不語」中の一遍より。

黄金餅(こがねもち)

貧乏長屋に住むケチで有名な乞食坊主。ある時、病の見舞いに来た隣人に、薬よりあんころ餅を食べたいと言い出す。怪訝に思って、隣人が壁の穴から覗いてみると――。三遊亭圓朝作、古今亭志ん生の十八番として知られる、古典落語の傑作より。

歌い骸骨

友を騙して金を奪った七兵衛。何食わぬ顔で友を探す旅に出るが、待っていたのはカラカラと笑う髑髏だった。グリム童話やドイツの民話など、世界的にも類話の多い枯骨報仇譚。

虚舟(うつろぶね)

遠い海の向こうに行ってしまった亡き母の幻影。あるうららかな春の日に沖から流れてきたものは、異国の若い女をのせた舟だった。未だ解明されていない江戸の実録ミステリー。

しし鍋の晩に弔いが出る

山裾の小屋に宿を借りた旅の僧。主人は老いた猟師で、仔猪しか獲れなかったと肩を落とす。その目に宿る一抹の狂気、そして聞こえ念仏の声――。塚の中から飛び出したのは人か、それとも畜生か。

非情乞食と茶屋娘

汚らわしい乞食を厭うことなく、茶を恵み続けていた娘。噂を聞きつけて激怒した父に、折檻されたと知った乞食は、ある行動に出る。清純さの合間に垣間見えた本心が、巡り巡って災いの種に――。

後家殺し

伊勢屋の後家と良い仲になった、素人義太夫語りの常吉。ある時、訪れた友達にのろけ話を聞かせていたが、思わぬ真実を知らされて――。妻子を思う姿に、奉行が胸を打たれて放った一言とは。

死霊解脱 累ヶ淵(二)累と助

怨敵与右衛門の娘、菊に憑依した累の亡魂。人々の念仏供養によって無事成仏したかに思われたが――。六十年の歳月を経て、秘められた因果が明らかになる。江戸怪談黎明期の大傑作。

二度目の妻と嚢中の錐

才色兼備の妻を得た、地方司法官の丁欽。難事件にぶつかるたび、妻の推理が夫を救う。だが、ある時、妻が突然押し黙ってしまい――。江戸文化に影響を与えた「南村輟耕録」中の一篇より。

今戸五人切 お藤松五郎

互いに想い合いつつも、口に出せずにいた兄妹分の松五郎とお藤。ようやく結ばれた二人は、恋の手違いに巻き込まれ――。運命の悪戯が人を狂気に走らせる。負い目ある男ゆえの悲哀と悲運。