妖魔一覧

人知れず美しい婿

箱入り娘の前に現れた、天下に二人とないという旅の美男子。長者は娘の婿に是非と要請するが、美男子はいつまでも覆面を外さない。やがて、怨霊の登場とともに、美男子の素性が知れ――。

三人尼と踊り茸

通い慣れた山中で道に迷った三人の木樵。数日にわたる野宿の末に見たものは、世にも奇怪な尼の姿だった。欲と自制の葛藤の隙に生まれる悦と苦――。怪奇と幻想の果てに現れた結末とは。

猫又屋敷

忽然と姿を消した飼い猫。筑紫の山中で暮らしていると教える旅僧。ひとり探しに訪ねていく女。現れたのは一軒の大きな屋敷だった。女がそこで見たものとは――。各地に伝わる化け猫伝説の一。

右も左も同じ顔 玄陰池

夏の強い日差しを避けて、大木の下で休んでいた商人の石憲の前に、現れた謎の僧。連れて行かれたのは、多くの僧侶たちが泳ぐ池だった。ところが、その僧侶たちをよく見てみると――。

瀬田の唐橋で渡された箱

京から美濃へ帰る途上、名橋「瀬田の唐橋」で不思議な女に出会った遠助。「決して開けてはならない」と言って渡された箱――。平安のパンドラの箱には、恐ろしいモノが詰め込まれていた。

一つが二つが四つになる

妖邪、迷信のたぐいを一切信じない、李頤の父。ある時、その噂を聞きつけた商人から、住めば必ず死ぬという家を買ってほしいと頼まれる。家人の心配をよそに、二つ返事で承諾すると――。

むくむくと腫れ物に触るよう

僧が一夜の宿を借りた百姓家。夜中に「むくむく」と呻く声の謎。そのわけを、主人に尋ねてみると――。右から左から、怨みと妬みの声が呼びかける。「諸国百物語」中の一遍より。

旅店の黒妖

横柄な地方の小役人を、冷めた眼差しで見る若者。その目にちらと映ったものは、得体の知れぬ黒い妖気だった。後に若者はその素性を知り――。唐代の伝奇小説「酉陽雑俎」中の一遍より。