情念一覧

八百屋お七

こんな話がございます。 ある年の瀬のことでございます。 ただでさえ慌ただしい年の暮れ。 筑波颪が激しく吹き抜ける江戸の町。 餅つきの杵の...

旅店の黒妖

こんな話がございます。 唐の国の話でございます。 よく、旅を人生に譬える御仁がございますが。 宿屋はさしずめ、人生の吹き溜まりと申せましょ...

犬と女房とその娘

こんな話がございます。 昔、摂津国兵庫のあたりに、長七ト申す者がございました。 大坂から酒を取り寄せて、商いをしておりました。 長七は近...

砧(きぬた)

こんな話がございます。 足利時代の話でございます。 筑前国の芦屋ト申すところに、何某という男がございました。 この男は、訴訟のために京に上...

死骸に乗る男

こんな話がございます。 平安の昔の話でございます。 ある男がございまして。 どんな事情があったかは知りませんが。 長年連れ添った妻を離縁し...

怪談牡丹燈籠

こんな話がございます。 根津の清水谷に、田畑と借家を持ち、その実入りで暮らしている浪人がございました。 名を萩原新三郎と申します。 年はま...