異形一覧

土偶の博徒

百越の故地、肇慶。番卒が城中を夜回りしていると、燈火に群がる男たちの歓声が――。リリリリリとコオロギの声。ごろりと床に転がる首。乱れ交う大金の意外な出処とは。「夷堅志」中の一篇より。

廃寺の五妖怪

荒れ果てたかつての名刹には、謎に満ちた噂が――。仏法をもって魔と対峙する旅僧。謎を解く鍵は物の怪たちが互いを呼び合う名前にあった。民話としても全国に流布する江戸の傑作降魔譚の一。

水を飲んだ女

真夏の昼下がりに現れた幼く愛らしい寡婦。その人柄に惹き込まれた王夫婦は、少女を息子の嫁にもらうことにするが――。夢枕に悲痛の訴え。寝間から聞こえる怪しい音。「酉陽雑俎」中の一遍より。

生きながら鬼になりし者

二親に死なれ、天涯孤独の小太郎は、親孝行と評判の巳之助を常に妬んでいた。山中であるものを手に入れた彼は、巳之助を酷い目に合わせようと画策するが――。諸国百物語中の一篇より。

神隠し 嬰児と黒髪

山中で遭遇した女は、かつて己が想った娘だった――。背中におぶった赤子の来歴。そして、女の来し方に秘められた悲話とは。二十年ぶりの再会に、男と女は何を思うのか。柳田國男「遠野物語」中の数篇より翻案。

生き人形のととさま

旅の修行僧が民家で土産に持たされたのは、手のひらほどの大きさの生きた人形だった――。不気味さと愛らしさのはざまに、人の業と悲哀が垣間見える。「新説百物語」中の一遍より。

人知れず美しい婿

箱入り娘の前に現れた、天下に二人とないという旅の美男子。長者は娘の婿に是非と要請するが、美男子はいつまでも覆面を外さない。やがて、怨霊の登場とともに、美男子の素性が知れ――。

猫又屋敷

忽然と姿を消した飼い猫。筑紫の山中で暮らしていると教える旅僧。ひとり探しに訪ねていく女。現れたのは一軒の大きな屋敷だった。女がそこで見たものとは――。各地に伝わる化け猫伝説の一。

変成男子と男やもめ

近江の宿場町に現れた美しい僧。一晩明けると、居住まいから声音まですっかり女らしくなっていた。にわかに興味をいだいた主人は、夜、僧の寝床を密かに訪れるが――。「奇異雑談集」中の一編より。