異界一覧

虚舟(うつろぶね)

遠い海の向こうに行ってしまった亡き母の幻影。あるうららかな春の日に沖から流れてきたものは、異国の若い女をのせた舟だった。未だ解明されていない江戸の実録ミステリー。

非情乞食と茶屋娘

汚らわしい乞食を厭うことなく、茶を恵み続けていた娘。噂を聞きつけて激怒した父に、折檻されたと知った乞食は、ある行動に出る。清純さの合間に垣間見えた本心が、巡り巡って災いの種に――。

三人尼と踊り茸

通い慣れた山中で道に迷った三人の木樵。数日にわたる野宿の末に見たものは、世にも奇怪な尼の姿だった。欲と自制の葛藤の隙に生まれる悦と苦――。怪奇と幻想の果てに現れた結末とは。

猫又屋敷

忽然と姿を消した飼い猫。筑紫の山中で暮らしていると教える旅僧。ひとり探しに訪ねていく女。現れたのは一軒の大きな屋敷だった。女がそこで見たものとは――。各地に伝わる化け猫伝説の一。

右も左も同じ顔 玄陰池

夏の強い日差しを避けて、大木の下で休んでいた商人の石憲の前に、現れた謎の僧。連れて行かれたのは、多くの僧侶たちが泳ぐ池だった。ところが、その僧侶たちをよく見てみると――。

夜ごとの妻

無愛想な隣人の部屋から夜ごとに漂う霊妙な香り。不審に思った二人の男が問い詰めると――。幽明を隔てた純愛に襲う悲劇。唐代の伝奇小説より。

野守の鏡

鏡面のように輝く池、「野守の鏡」。修験者の前に現れた老人は、池の名の由来を語るうちに――。人と鬼神が切なく交わる、世阿弥作の幽玄譚。

飛騨の猿神

滝壺の下に広がる異界に迷い込んだ修行僧は、めくるめく饗応の末に愛欲の虜となってしまう。若き破戒僧を異形の神が待ち受けていた理由とは――。