
八王子千人同心 蛇姫様
八王子千人頭の屋敷には、世にも美しい娘がいた。父の頼母は箱入り娘にして大事に育てていたが、思いもよらぬ風評に我を失って――。現存する八王子文護稲荷の由来。
八王子千人頭の屋敷には、世にも美しい娘がいた。父の頼母は箱入り娘にして大事に育てていたが、思いもよらぬ風評に我を失って――。現存する八王子文護稲荷の由来。
お人好しの主人の目を盗み、私腹を肥やす子飼いの手代。神をも怖れぬ増上慢が身に招いた破滅。反り返っては跳ね、反り返っては跳ねる火の車――。平仮名本「因果物語」中の一篇より。
月蝕の晩に出会った女には、意外過ぎる裏の顔があった。世界最古の描写と目される、平安のサディズム&マゾヒズム。芥川龍之介「偸盗」の原拠となった「今昔物語集」中の一遍より。
戦乱に巻き込まれて死んだ妊婦。それから数日後、隣町の餅屋には夜な夜な現れる赤子を抱いた陰鬱な女の姿が――。日本民話の原話となった宋代の志怪小説より。
初代尾上菊五郎の子、丑之助。暴漢に襲われた父から聞いた最後の一言が、彼の人生を狂わせる。蓮華の花中に秘められた真実とは――。実際の事件を組み合わせ脚色した江戸の罪業譚。
山中で見かけた狐に悪ふざけを仕掛けた宗介。勝ち誇ったつもりで山を降り、帰りに再び通りかかると――。パチパチと燃える囲炉裏の火。徐々に漆黒に染まっていく、老婆のやけに丈夫な白い歯。八戸の民話より。
金だけ巻き上げられて騙された破戒僧は、やがて復讐の鬼となる。だが、その先に待っていたのは、阿鼻叫喚の地獄絵図だった――。木も、草も、笹の露さえも、この世の全てが責め立ててくる。片仮名本「因果物語」中の一篇より。
二人の孝行息子を持つ穏やかな父。ある日人が変わったように荒れ狂ったのは、妖物がなりすましていたせいと知るが――。どちらが本物か偽物か。兄弟が出した答えは如何に。
かつての冷泉院跡に残った池の畔。気持ちよく昼寝をしていた男の顔の上に不気味な気配。身の丈三尺の老人が冷たく濡れた手で――。怪しい翁の正体とは。今昔物語集中の一篇より。
隅田川の渡し船に乗り込んだ都の狂女。対岸で行われている念仏会の由来を渡し守が語りだすと――。親子の情も春の夢のごとく散ってゆく。世阿弥の子、元雅作の名作能より。